うまい空気、まずい空気

松本は空気がうまい。
もちろん物理的に?澄んでいる・きれいということもあるが、
この街に流れる空気はとにかく心地がよい。
どこに行っても居心地がよいし、そこに流れる空気がうまい。

最近はとにかくいろいろな人のお手伝いをさせてもらっている。
例えばこの前は今年松本市に越してきて、
今は自分たちでカフェを建設中のChrisとクミさんを手伝った。
Chrisが自分でデザインし、自分で作っている。
本当に彼はすごい。
アメリカにはDIY精神が根付いており、家の補修や増築など自分でやる人が多いのだそう。
Chrisも小さいころから父親が家の作業を間近で見て育ったらしい。
Chrisいわく、
「やったことはないけど、それが可能なことは知っている」
かっこいい。
「それを知っててやらない方がおかしい」のだそう。
さすがアメリカ人なのか、
Chrisだからなのか。
とにかく彼はとてもいいやつ。
出会いに感謝。

はてさて、もう一つ手伝っていること。
古い友人の姉夫婦がリンゴ農家を営んでおり、
今週から外国人向けにりんごの収穫体験を始める。
英語が心配ということで少しお手伝いさせてもらっている。
おじいさんから受け継いだお宅も立派な日本家屋で、
りんごの収穫体験のあとはそこでお茶も出す。
日本の文化体験という意味でも外国人にとっては面白そうなイベントだ。
先日はそのチラシができたとのことで、
お姉さん、娘さん(7か月)と3人で市内のホテルや観光協会を回り、
チラシをおいてもらうようにお願いした。
いわば、営業である。
ご主人は台風で落ちてしまったりんごの片づけ作業で来られなかった。

突然の訪問にも関わらず、
ホテルの方々は快く引き受けてくれて、
人の温かさを感じた。

と同時に、

子育ての大変さもわずか数時間であったが体験した。

昨今は待機児童問題や出産後の女性の就労支援など子育て問題のニュースを多く聞くが、
個人的には大変だとか思いつつ、自分は理解がありますよ的オーラを出していた。
実際に公共の場で子供が泣きだしても、
「元気いっぱいでいいな」と思いつつ、あまり不快だとは思わなかった。
しかし、これが意外と当事者(自分の子供ではないが)となると気を使う。
例えば、先日の場合は
ホテルの方にイベントのことを説明中に泣き出してしまったりすると
なんだか申し訳ない気持ちになるし、
街中をベビーカーで歩いていても少し気を使う。
普段は全く気にならないような段差がすごく気になる。
体験しないと分からないことはいっぱいある。
お昼ご飯の場所を探すときも、
お姉さんはなるべくがやがやしたところを探していた。

「静かだと泣き出したときに目立つから。」

ちょっとさみしい。
そう思わないでほしいが、確かに自分が当事者になるとこれも分かる。

じゃあどうしたらそう思わなくなるのだろう。

よく社会の理解が必要と言うが、その通り。
でももっと大切なのはそれを「示すこと」。
いくら理解があっても示さなければ意味がない。
伝えることで、救われる。
先日もホテルの方が一言先に赤ちゃんに声をかけてくれるとなんかその場の空気は変わったと思う。
赤ちゃんを見て笑顔であったので、不快には思っていないということは分かったけど、
なんだか気まずい空気が流れていた。

いわば空気が悪かった。

確かに他の人が赤ちゃんやお母さんに声をかけている場で
赤ちゃんが泣きだしてもそこまで気まずい感じにはならなさそう。
一人でも多くの人がその場でお母さんの味方となること。

空気って意外に重要で、空気によって状況が一変することはよくある。
いじめとかもこういう一面がよくあると思う。
いじめの原因って実はどうでもいいようなことが多い。
だけどガキ大将みたいなやつがいじめようと決め、そのような空気を作る。
ダウンタウンの松本さんが、
いじめのある所に芸人を派遣すれば状況は変わるんじゃないかということをこの前テレビで言っていた。

話は少しそれるが芸人さんは空気を作るのがとてもうまいと思う。
というかむしろ空気を作ることが本業なのでは…
「この人なんか面白そう」という空気を作ると人は笑う。
よく同じネタでも場所によって受けるところと受けないところがあるというのはまさにそれのように思う。

空気を読む日本人ではあるがちょっとシャイな分こういうところは苦手な気がする。
読むのは得意だけど、作るのは苦手。


社会の理解も必要だが、
それを「示すこと」がもっと必要だと感じた一日。

 

 

ちなみにイベントは今週からです!
イベントの他にも農家民宿も始めるそうなので興味のある方是非!!
高台から見る松本の景色もとってもきれいです。

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